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診療部 ー 産科

24時間無痛分娩に対応

無痛分娩について

日本でも年々無痛分娩の頻度は増加しており、2023年では11.6%と報告されています。当院ではそれよりも多く、約40%の方が無痛分娩でご出産になっています。「無痛分娩」という⾔葉で⽇本では普及していますが、英語では「labor epidural analgesia」(分娩時の硬膜外鎮痛)という⾔葉が使われています。

「無痛」というと、なにもわからないままに⾚ちゃんが生まれそうと考えがちですが、実際には陣痛時のお腹の張りや⾚ちゃんが⾻盤をおりてくる感覚はなるべく残すようにしています。そうすることによっていきむことが可能となり、ご自分の⼒で出産することができます。

■ 当院では主に硬膜外鎮痛を実施

最新設備を取り入れた、安心と安全の無痛分娩

一般的に無痛分娩には「硬膜外鎮痛」と「静脈点滴やガスの鎮痛」があり、当院では主に、硬膜外鎮痛を行っております。硬膜外鎮痛は陣痛時の痛み緩和にも有⽤ですが、会陰の傷が⼤きいときの縫合、胎盤の⽤⼿剥離など分娩に伴う痛みすべてに対してかなり有⽤です。妊婦さんは分娩が近づくと前駆陣痛がはじまり夜中もなかなか眠ることができません。硬膜外鎮痛により痛みを和らげ、休息をとることにより新たな気持ちでお産に取り組むことができるようになります。

24時間麻酔科医が対応

⽇本で徐々に広がりつつある無痛分娩ですが、北⽶と較べるとまだまだ制限の多い部分もあります。⿇酔科医不⾜のため計画分娩のみの病院、あるいは産科医が分娩も⿇酔も行う病院も多くあります。当院では2019 年10 ⽉より、24時間の⿇酔科医対応による無痛分娩を開始しました。

当院では、24時間麻酔科医が無痛分娩を担当しているので、自然陣痛発来で入院してから無痛分娩を行います。計画分娩の場合には子宮口の熟化・開大に時間を要し、分娩までに数日間かかる場合もあるため、患者様のご希望による計画分娩は行わず、医師が必要であると判断した場合にのみ行います。また⿇酔科医が無痛分娩を担当することにより産科医だけでなく、⿇酔科医も全⾝状態を観察することができ、急変時の対応を迅速に行うことができます。

関連リンク 麻酔科

各専門医によるチーム医療

無痛分娩を成功させるコツは、⿇酔科医・産科医・⼩児科医・助産師の4つの分野の深いコミュニケーションにあるといわれています。当院では各分野のスタッフがそれぞれの役割をしっかりと理解した上で、綿密な連携体制を取り、出産に臨んでいます。

また、院内では新⽣児を対象にしたNCPR、無痛分娩の安全な診療のためのJALAの講習会、母体急変時のJ-CIMELS講習会など各種シミュレーション講習の受講を奨励しています。これにより⼀層、助産師―産科医―⿇酔科医―新⽣児科医の連携が深まっています。

無痛分娩について

  1. 1無痛分娩をご希望される方に産婦人科医師よりご説明

    当院の無痛分娩は、硬膜外鎮痛あるいは脊髄くも膜下硬膜外併用鎮痛を用いて、陣痛発来に合わせて麻酔科医が施行します。微弱陣痛等により分娩進行が見られない場合には、陣痛促進剤の使用や吸引分娩の実施が必要となる場合もあります。
    ご希望による計画分娩は実施していません。
    無痛分娩をご希望の方は、担当産婦人科医師にご相談ください。

    ◾️無痛分娩を受けていただけない方
    当院では、分娩時のBMIが40を超える方・日本語での十分なコミュニケーションが困難な方は、無痛分娩を受けていただくことができません。

  2. 2無痛分娩教室

    現在、オンライン視聴で行っています。受講方法は下記PDF(『無痛分娩教室』のオンライン視聴について)をご覧ください。

    ■ 無痛分娩に関する書類

    下記より各種書類をダウンロードできます。

  3. 3無痛分娩外来
    ※病棟での緊急処置のため、
    外来予約時間からお待ちいただく場合がございます

    無痛分娩外来では、アレルギー・既往歴・以前の分娩経過などをおうかがいします。また、硬膜外鎮痛を行う際支障となるような皮疹や背骨の弯曲などがないか、背中を視診・触診いたします。

  4. 4分娩当日

    陣痛発来・破水で入院された時点で採血を行い、採血結果に異常がないことを確認します。
    その後陣痛の痛みの強さやお産の進み具合を見ながら、タイミングをはかって硬膜外カテーテルを挿入し、無痛分娩を開始していきます。

無痛分娩費用について

外来受診料 5,000円
無痛分娩費用 脊髄くも膜下鎮痛もしくは硬膜外鎮痛を施行したら 初産婦:150,000円、経産婦:130,000円 費用は処置の開始時までは発生いたしません。分娩の直前まで無痛分娩をお受けいただくかお選びいただけます。

※いずれの場合も、通常の分娩費用が別途加算されます。

無痛分娩に関するご相談は下記にお電話ください

06-6471-9541

※お電話で「無痛分娩について」とお伝えください。

2024-2022年度 無痛分娩件数

2024年 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
無痛分娩件数
66件 80件 74件 94件 108件 101件
2023年 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
無痛分娩件数
57件 94件 84件 84件 86件 83件 89件 96件 82件 78件 88件 81件
2022年 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
無痛分娩件数
68件 67件 53件 85件 59件 74件 53件 67件 73件 60件 63件 47件

■2023年度無痛分娩総数 1002件

■2022年度無痛分娩総数 769件

■2021年度無痛分娩総数 767件

医師・スタッフ紹介

麻酔科 部長 角 千里

経歴 関西医科大学附属病院にて
産科麻酔に従事
2019年より千船病院に異動

2019年以降、麻酔科医が24時間365日無痛分娩を担当することで、安全で満足度の高い無痛分娩を受けていただけるようになりました。2人目・3人目のご出産の際にも「また千船病院で無痛分娩をしたい」と無痛分娩外来に再来いただく方も増えており、とても嬉しく、身が引き締まる思いです。
妊婦様・⼀緒に出産に挑まれるパートナーの⽅が、しっかりおちついてお産ができるように、私達も⽇々サポートしてまいります。

麻酔科 医員 平塚 剛

経歴 関西医科大学附属病院にて産科麻酔に従事
2023年より千船病院に異動

多くの方が出産の”痛み”に対して不安に思っていると思います。
陣痛の痛みは個人差がありますが、”人生最大の痛み”という方もおられ、産後疲労の原因にもなります。
その人生最大の痛みをコントロールし、思い出に残るお産になるようサポートさせていただきます。
一緒に頑張りましょう。

麻酔科のスタッフ紹介にリンク

無痛分娩に関するよくある質問

無痛分娩にするか迷っているのですが、
いつまでに決めたらいいですか?

妊娠中に無痛分娩教室と無痛分娩外来を受診していただいていれば、いつでも⼤丈夫です。出産前には今回のお産がどれぐらい痛いかなんて予測ができませんから、最初は⿇酔無しで挑戦してみて、途中で無痛分娩に変更することも可能です。

⾚ちゃんに与える影響は?

硬膜外⿇酔無痛分娩に使うお薬が⾚ちゃんに届く量はとてもわずかです。⾚ちゃんが眠ってしまったり・・というような悪い影響はありません。逆にお⺟さんが過剰なストレスから過換気になってしまうことを防いで、⾚ちゃんにしっかりと⾎液や酸素を送ってあげられることが期待されます。また、投与するお薬の量が少ないため、分娩直後に授乳をしてもらっても全く問題ありません。

無痛分娩にしたら全然痛みがないのですか?

痛みの感じ⽅は、ひとりひとりでかなり違います。また同じ⼈でも、その時の体調や精神状態にも⼤きく左右されます。ですから⿇酔中には痛みの強さを0〜10の数値で表現していただいたり、⿇酔で感覚が鈍くなっている範囲を触って確かめたりしながら、⿇酔の量を調節していきます。これは、⿇酔が効きすぎてしまうとお腹に全然⼒が⼊らなくていいきめなくなってしまったり、おかあさんの⾎圧が下がってしまうことで、胎盤への⾎流量が減って⾚ちゃんががしんどくなってしまうことがあるので、それを避けるためです。
ですから痛みを全くゼロにすることを⽬指すのではなく、“お腹が張ったときにはちょっと痛いけど、張るのはしっかりわかるし⾜にもお腹にもしっかり⼒が⼊る”状態、を⽬標にお薬の量を調節していきます。

⿇酔が途中で切れたりしませんか?

当院では、硬膜外⿇酔を中⼼にした鎮痛⽅法を⾏っています。硬膜外⿇酔は、背⾻の奥にある硬膜外腔という場所に細くて柔らかいカテーテルを⼊れて、カテーテルからお薬を⼊れて痛み取る⽅法です。そのため、鎮痛薬は途中で何度でも追加することができます。
ただ、分娩中にカテーテルが抜けてきてしまったりした時には、⿇酔のお薬が⽪下組織の中に漏れてしまって効き⽬がなくなることがあります。そんな場合にはもう⼀度新しいカテーテルを⼊れ直します。

分娩中の過ごし⽅は?

【お⾷事・飲み物に関して】

⿇酔を始めてからは、基本的にお⾷事はとれませんが、⽔分(お茶・スポーツドリンク・果⾁⼊りでないジュース・ブラックコーヒー・ゼリー飲料(こんにゃくゼリーを除く)、飴・ガムなどは好きにとっていただけます。

【どれくらい動けるの?】

胎児⼼拍陣痛モニター・⼼電図・⾎圧計・サチュレーションモニター(体の中の酸素の量を測る機械)を、⿇酔開始後から⾚ちゃんが⽣まれるまでつけていただきます。⾎圧は、⿇酔開始直後は5分毎、その後は15分おきに測定します。

【機器の装着をお願いします】

胎児⼼拍陣痛モニター・⼼電図・⾎圧計・サチュレーションモニター(体の中の酸素の量を測る機械)を、⿇酔開始後から⾚ちゃんが⽣まれるまでつけていただきます。⾎圧は、⿇酔開始直後は5分毎、その後は15分おきに測定します。

費⽤はどれくらいかかりますか?

⿇酔はいつまで続けますか?

硬膜外⿇酔のカテーテルは、多くの場合お産の後の会陰切開の傷の縫合など、痛みを感じる処置が終わった後に抜いてしまいます(このカテーテルを抜く操作は痛くありません)。これはできるだけはやく⾃由に動いていただくためです。その後の⼦宮収縮の痛みに対しては、飲み薬や座薬などで対処できますので、ご安⼼ください。ただし、胎盤遺残がうたがわれるなど、⼦宮内の処置が必要になる可能性がある等の場合には、⼀晩ほどカテーテルを残しておくこともあります。