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診療部 ー 脳神経外科

特色

一次脳卒中センター

日本脳卒中学会認定「一次脳卒中センター」(PSC)に認定されました

このたび、当院は一般社団法人日本脳卒中学会より一次脳卒中センター(Primary Stroke Center : 以下PSC)に認定されました。

日本脳卒中学会が定めるPSCの認定要件としては、

  1. 1 地域の医療機関や救急隊からの要請に対して、24時間365日脳卒中患者を受け入れ、急性期脳卒中診療担当医師が、患者搬入後可及的速やかに診療(rt-PA静注療法を含む)を開始できる。
  2. 2 頭部CTまたはMRI検査、一般血液検査と凝固学的検査、心電図検査が施行可能である。
  3. 3 脳卒中ユニット(SU)を有する。
  4. 4 脳卒中診療に従事する医師(専従でなくてもよい、前期研修医を除く)が24H/7D体制で勤務している。
  5. 5 脳卒中専門医1名以上の常勤医がいる。
  6. 6 脳神経外科的処置が必要な場合、迅速に脳神経外科医が対応できる体制がある。
  7. 7 機械的血栓回収療法が実施出来ることが望ましい。実施できない場合には、血栓回収脳卒中センターや包括的脳卒中センターとの間で、機械的血栓回収療法の適応となる患者の緊急転送に関する手順書を有する。
  8. 8 定期的な臨床指標取得による脳卒中医療の質をコントロールする。

などが挙げられています。
当院は2床のSUと4床のICUを保有し、24時間脳卒中治療ができる医師が常駐しています。緊急の血管内治療手術やt-PA静注療法(血栓を溶かす点滴による脳梗塞の治療法)、脳外科手術に対応可能な体制を敷いております。

脳卒中患者を24時間体制で受け入れ

千船病院では脳卒中症例を24時間体制で受け入れ、治療しています。特に急性期脳主幹動脈閉塞症については、当院搬入後1時間以内に、血栓溶解療法(tPA)を開始しながら兵庫医科大学病院へ救急搬送(Drip & Ship法)し、血栓回収療法を行える体制を確立しています。
Drip & Ship法は、脳卒中ガイドライン2015でも記載されており、直接搬送例との比較で転帰良好患者の割合に有意差はないとの報告が多くみられます。(兵庫医科大学からの報告:Neurol Med Chir (Tokyo). 2016:56:731-6.)Drip & Ship法は、より多くの患者に血栓回収療法を施行するための安全かつ有効な方法だと考えています。

Drip & Ship法での治療例

60歳男性。22:20右片麻痺、全失語で発症。22:55当院着。23:50 tPA静注開始。23:58転院搬送。0:17 兵庫医科大学病院着。0:55 血栓回収開始。1:58 再開通。運動性失語は後遺したものの麻痺はなくADL自立し自宅退院。

  • A

    MRI-DWI

    左中大脳動脈領域の超急性期脳梗塞

  • B

    MRA

    左中大脳動脈M1の閉塞(矢印)

  • C

    CT灌流画像(RAPID)

    脳梗塞になっている領域(ピンク、51ml)と脳梗塞になりつつある領域(緑、139ml)を算出。その差(88ml)が救済可能。

  • D

    アンギオ

    血栓回収前。左中大脳動脈M1の閉塞(矢印)

  • E

    アンギオ

    血栓回収後。左中大脳動脈の完全再開通

  • F

    2週間後のMRI-FLAIR

    発症時のDWI高信号域を除き梗塞を免れている。

原則24時間体制で入院、治療の受け入れを行っています。脳梗塞などは超急性期の診断・治療が重要となりますので、疑う症状があればすぐにご紹介ください。
治療後は、自宅退院が困難な場合は回復期リハビリ病院などの近隣の病院や老健施設などにご紹介しています。自宅退院の場合には紹介元の先生に紹介し、当科でも経過観察します。

兵庫医科大学病院との連携

兵庫医科大学脳神経外科からの応援を得て、脊椎専門外来を陰山博人先生(火曜日)、小児脳神経外科・脳腫瘍専門外来を阪本大輔先生(水曜日)に担当していただいています。
診断や治療に難渋するような時など、より高度な検査や専門的な治療が必要な場合は、兵庫医科大学病院を含む専門病院へ円滑にご紹介します。

兵庫医科大学病院 脳神経外科