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診療部 ー 糖尿病内分泌内科

甲状腺疾患

甲状腺疾患

甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンが不足している場合)

橋本病(慢性甲状腺炎)が代表的な疾患で、甲状腺に対する自己抗体ができて甲状腺に慢性的な炎症を起こし、その程度により、甲状腺機能の低下をきたします。女性に多く、成人女性の10人に1には橋本病があると言われており橋本病やバセドウ病などの甲状腺疾患を持つ方が血縁にいる場合は、頻度が高くなるといわれています。
ただし、橋本病のうち全員が甲状腺機能低下症になるわけではなく、 このうち20%程度の方で甲状腺機能が低下して、症状があらわれます。全身の代謝が低下するため、太りやすい、冷えを強く感じる、常に倦怠感を感じるなどの自覚症状は出現します。また、気分が落みや、不安感が増したりすることもあります。うつ病や、高齢の方では認知症と間違えられることもあります。
また甲状腺機能が低下するとコレステロール値が上昇するため、コレステロール値の異常をきっかけに診断されることもあります。甲状腺の自己抗体(抗TPO抗体、抗Tg抗体)の血液検査で診断できます。甲状腺腫脹の程度はさまざまですが、典型的な場合甲状腺は硬く腫脹します。治療は甲状腺ホルモンを内服で補充します。

甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンが過剰な状態)

代表的な疾患はバセドウ病です。自己免疫疾患で、甲状腺を刺激する自己抗体がつくられ甲状腺を持続的に刺激するために機能亢進を起こします。原因はわかっていませんが何らかのウイルス感染が契機になったり、遺伝素因が関係する可能性もあると言われています。
特徴的な症状に多汗、手の震え、体重減少、動悸などがあります。その他には、下痢、気持ちが落ち着かない、怒りっぽくなるなどの症状が出る場合があります。これらの機能亢進の症状のほかに眼球突出を起こすことがあります。甲状腺機能およびTSH受容体抗体を含めた血液検査および甲状腺エコー検査を行って診断できます。抗甲状腺剤の内服で治療しますが、場合により放射性ヨード治療や手術療法が望ましいことがあり、これは当院では施行できませんので専門施設を紹介いたします。
またこれ以外に無痛性甲状腺炎、や亜急性甲状腺炎などでも一時的に甲状腺機能亢進がおこります。またまれですが甲状腺ホルモン産生腫瘍があります。これらの診断にはエコーやシンチグラフィーが必要なこともあります。

甲状腺腫瘍

バセドウ病、橋本病も非常に多い疾患ですが、甲状腺腫瘍も多く、その大半は特に大きくなければ治療の必要のない腺腫かのう胞です。しかし当院でも年間4-5例の手術の必要な甲状腺がんが発見されていますので、もし頚部に腫脹があったり、違和感のある方は受診ください。甲状腺がんの数パーセントに予後の悪い未分化がんがありますが、それ以外のがんは予後は良好です。(手術が必要なことが多いですが)。甲状腺のエコー検査、CTや、甲状腺に細い注射針を刺して細胞を取って診断します※。

※現在、当院での甲状腺吸引細胞診施行日が月1~2回となっており、急ぐ必要がある、または結果を早く知りたい場合には専門施設をご紹介させていただいております。

周産期と甲状腺疾患の関連

周産期に甲状腺ホルモン値を適切に維持することは母体と胎児にとって重要です。よって橋本病やバセドウ病があり、妊娠を希望されている女性の患者様は特に妊娠前から妊娠に適したホルモン値を維持するために綿密なコントロールを行います。
また最近では潜在性甲状腺機能低下症(血液検査などで明らかになる軽度の甲状腺ホルモンの不足状態)と不妊の関係も注目されるようになっており不妊症の10人に1人が潜在性甲状腺機能低下症ともいわれ不妊の一因となっている可能性もあります。当院では挙児希望の方の甲状腺機能スクリーニングも行っており必要があれば妊娠に適した治療介入をさせていただきます。また妊娠後は産科と連携させていただき定期的に内科的なフォローも行います。