膝前十字靱帯損傷の治療
急性期(受傷後3週間くらいまで)には膝の痛みと可動域制限がみられます。しばらくして腫れ(関節内血腫)が目立ってくることもあります。急性期を過ぎると痛み、腫れ、可動域制限はいずれも軽快してきます。しかしこの頃になると損傷部位によっては膝の不安定感が徐々に目立ってくることがあります。これは下り坂やひねり動作の際にはっきりすることが多いです。不安定感があるままに放置しておくと新たに半月(板)損傷や軟骨損傷などを生じ、慢性的な痛みや腫れ(水腫)が出現します。
検査方法
膝関節に徒手的にストレスを加えて緩みの程度を健側と比較します。画像診断ではMRIが有用です。X線(レントゲン)写真では靭帯は写りませんがMRIでははっきりと描出できます。半月(板)損傷合併の有無も同時に評価できます。
原因・病態
スポーツ外傷や交通事故などで大きな力が膝に加わった時に、その外力の方向に応じて種々の靱帯損傷を生じます。脛骨(すね)上端の前内方に向かう外力で前十字靭帯が損傷します。非常に強い外力を受けたときは、複数の靱帯に損傷がおよぶこともあります。
治療方法
放置していても自然に治癒する事はなく、手術による靱帯の再建が必要です。当科では関節鏡を用いて小さなキズで手術を行い、手術後、約2週間の入院リハビリを行っております。退院後もリハビリ治療を継続し、術後約6ヶ月でスポーツ復帰可能となります。