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診療部 ー 呼吸器内科

慢性閉塞性肺疾患

慢性閉塞性肺疾患

COPDは慢性閉塞性肺疾患のことで、以前は「肺気腫」や「慢性気管支炎」と呼ばれていた病気です。COPD 患者さんの90%以上に喫煙歴があるので、「肺の生活習慣病」、『タバコ肺』とも呼ばれています。

(COPD 診断と治療のためのガイドライン 2018より抜粋)

タバコの煙などの有害な物質を吸い込むことによって空気の通り道である気道(気管支)が狭くなったり、酸素の交換を行う肺(肺胞)などに障害を起こします。この病気に罹ると肺や気管支を通して空気の出し入れがうまくいかなくなるため、呼吸がしにくくなり息切れが起こります。

COPD が進行すると着替えや入浴程度の動作でも息切れするようになり、日常生活を送ることが困難になります。また、咳・たんなどの症状を認めるようにもなります。COPDが進行すると、肺がんや動脈硬化、心不全・心筋梗塞、骨粗鬆症などを発症しやすくなります。

COPDになりやすい人とは?

タバコの煙、大気汚染物質の吸入、化学物質(刺激性の蒸気や煙)の曝露などで、気管支や肺を傷つけることにより、肺胞が壊れたり気管支に炎症が起きたりします。また、受動喫煙によってもCOPDは発症することがあります。COPDの発症率は年齢や喫煙の曝露量とともに増加し、高齢の喫煙者では約50%にCOPDが認められます。

タバコは肺を老化させます。若い頃は特に症状を認めなくても、年齢を重ねることにより肺は更に老化します。(自分の年齢が60歳でも、肺年齢が80歳ということも生じています)

主な症状

  • 40歳以上で喫煙習慣がある、以前にタバコを吸っていた

  • せき、たん、息切れなどの症状のある

  • 咳、痰がしつこく続く

  • 風邪を引いたときや、運動をしたときの喘鳴(ぜいぜいする)がある

  • 階段の昇り下りするときや坂道を上るときに息切れがする

  • 同年代の人と一緒に歩いていて、他の人より歩くペースが遅れる

下記の症状がある人はCOPDが進行している可能性があります

口すぼめ呼吸(息切れを感じたときに、意識的に口をすぼめて呼吸する)

検査方法

受診当日に検査が可能です。

  • 胸部レントゲン

  • 胸部CT

  • 肺機能検査

  • 動脈血液ガス

治療方法

禁煙 基本は喫煙をやめることです。
薬物療法 気管支を広げる拡張剤や、痰を減らす去痰剤を使用することにより、息苦しさを和らげることができます。また、薬物療法以外にも呼吸器リハビリテーションが重要です。
理学療法 呼吸に使用する筋肉の動きを良くして、息苦しさを和らげます。
運動療法 手足の筋肉を含め、呼吸に使用する筋肉を鍛え、息苦しさを和らげます。
作業療法 息切れが少なくなる日常動作を覚えます。
栄養管理 食事でお腹が膨らむと息が苦しくなるため、食事の食べ方や栄養の改善により息苦しさを和らげます。また、息が苦しいことにより食事の飲み込みがしにくくなる方もおられるため、飲み込みの練習も合わせて行います。
在宅酸素療法 一定以上に体の酸素が低くなることにより呼吸が苦しくなる場合には、酸素投与を行い息苦しさを和らげます。

また、COPDが風邪症状などを契機に悪化する(急性増悪といいます)と更に肺機能が低下するため急性増悪の予防が重要です。

ワクチン接種

インフルエンザワクチンや、肺炎球菌ワクチンなどの接種を行います。

薬物療法

医師と薬剤師、看護師が協力して治療介入を行います。種々の気管支拡張剤があり、その中から患者さんが一番治療効果が得られるものを選択します。

理学療法

呼吸に使っている筋肉・骨・横隔膜などの動きを整え、息がしやすくなるように整えます。呼吸介助(胸郭可動域トレーニング)を行い、横隔膜、肋骨の動きを良くして呼吸しやすく整えます。

運動療法

息切れを感じにくい歩き方を練習し、歩行訓練により運動耐容能をつけていきます。

作業療法

COPDの患者さんは図のような動作が、息切れが生じるために苦手です。
息切れを起こしにくい動作を覚えることにより、息切れが軽減します。
息切れを起こしにくい動作の指導を行います。

栄養管理

食事でお腹が膨らむと息が苦しくなるため、食事の食べ方や栄養の改善により息苦しさを和らげます。COPDの方が息切れを起こしにくい食べ方や食事を提案し、栄養指導を行います。
また、息が苦しいことにより食事の飲み込みがしにくくなる方もおられるため、飲み込みの練習も合わせて行います。楽しく食事がとれることが大切です。

在宅酸素療法

じっとしている時や動いたあとに、酸素状態の悪化を認める場合には酸素の使用を考慮します。
酸素が低いままの状態で生活していると、COPDが急激に悪化したり、心不全などを起こしやすくなります。正しい酸素の使用方法を覚えていただきます。

教育入院の流れ

COPDに対する短期入院を通して、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語療法士、管理栄養士、薬剤師、MSW(医療ソーシャルワーカー)ら各スタッフがチーム組んで集中的に治療や指導を行い、COPD患者さんの生活の質を改善することを目指します。

入院予定期間 費 用:健康保険適用
約2週間(予定) 本人負担3割の場合 約15万円
本人負担1割の場合 約5万円

多職種との連携

患者に関わる多職種が互いに情報交換・情報共有

身体の活動度により予後が変わります

COPD患者さんの予後を決める要因は、肺機能の数値よりも普段どの程度動いているか?(“身体の活動性“といいます)にあります。そのため、呼吸リハビリテーション入院の一番の治療目標は身体活動性の向上です。

呼吸リハビリテーションの入院によって劇的に肺機能が改善したり、息苦しさがなくなるということは難しいですが、少しでも息苦しさが軽減することにより“身体の活動性”を向上させ、退院後も継続できるような環境を作るように配慮、指導を行います。

COPDから生じる呼吸困難から
右図のような悪循環を招いてしまいます。 これらの負の連鎖を断ち切るために、呼吸リハビリテーションが重要です。

呼吸リハビリテーションは“負の連鎖”を止める一歩になるかもしれません

当院の呼吸リハビリテーション入院は、施設基準:呼吸器リハビリテーション(Ⅰ)を満たしており、呼吸器専門のリハビリテーションスタッフが呼吸困難の軽減や日常生活動作能力の改善を目的に、患者さん個々に合わせた呼吸法の指導・排痰・筋力トレーニング・持久力トレーニングをオーダーメイドで行います。
当院は急性期病院のため、転院でのリハビリテーション入院は受け付けておりません。(2週間前後の短期入院で退院します)
外来通院リハビリテーションは基本的には行いませんが、呼吸リハビリテーション入院した方については外来通院でしばらくフォローを行うことも可能です。

COPDにおける呼吸リハの効果

効果 エビデンスの強さ
運動能の改善 確信性が非常に高い
呼吸困難の軽減 確信性が非常に高い
健康関連QOLの向上 確信性が非常に高い
入院の回数と入院日数の減少 確信性が非常に高い
COPDによる不安と抑うつの軽減 確信性が非常に高い
上肢筋力と持続力トレーニングによる上肢機能の改善 確信性が高い
呼吸リハトレーニング終了後も効果は短期間持続 確信性が高い
生存率の改善 確信性が高い