動脈硬化(末梢動脈疾患)
足の動脈硬化「末梢動脈疾患」ってどんな病気?
主に下肢動脈等の末梢血管の動脈硬化症のことを指します。以前は下肢閉塞性動脈硬化症という言葉が使われていましたが、最近はより広い疾患概念である「末梢動脈疾患」という言葉に変わりつつあります。末梢動脈疾患を有する患者さまでは脳梗塞や冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)を合併する割合が約60%と報告されており、またその予後は一般健常人の半分以下と非常に不良と言われています。多くは脳梗塞や心筋梗塞が原因で亡くなられるために、末梢動脈疾患を有する方は下肢以外の頭頸部や心臓の検索が必要です。
日本人の有病率はどれくらい?
米国では40歳以上の成人の約5%、70歳以上では約15%と報告されています。日本では大規模な調査は行われておりませんが、70歳以上の約9%を占めると言われるものから25%というものまで様々な報告があり、急激な高齢化とともに末梢動脈疾患の患者数は確実に増加していくと考えられます。
主な症状
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冷感・しびれ感
- 手足が冷たい
- 手足がしびれる
- 手足の指が青白い
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間歇性跛行(かんせつせいはこう)
- 一定距離を歩くと、主にふくらはぎなどが締め付けられるように痛くなり、休まなければならない(数分で回復)
- 階段をのぼるのは特につらい
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安静時疼痛(あんせいじとうつう)
- じっとしていても手足が痛み、夜も眠れない
- 刺すような痛みが常に持続している
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潰瘍・壊死(かいよう・えし)
- 手足に治りにくい潰瘍ができる
- 壊死部は黒くなる
最初は歩行時にふくらはぎの痛みとして自覚することが多く、休憩をいれないと歩けなくなります。徐々に歩行距離が短くなり、さらに進行すると安静時にも足の痛みを感じるようになります。最終的に足趾や踵に潰瘍や壊死を生じると、切断を行わないといけないことがあります。
検査方法
末梢動脈疾患の検査には、足関節と上腕の血圧の比を測定するABIや足趾と腕の血圧の比を測定するTBIが簡便に受けることができる検査として行われています。これらの検査値に異常を認めたり、病歴から末梢動脈疾患の可能性が高いときには、運動負荷試験や血管エコー検査、下肢CT、下肢MRIなどを行って、血管の狭窄や閉塞部位およびその程度を評価します。
さらに血行再建術が必要な時には、カテーテルを用いて下肢の動脈造影検査を行います。
治療方法
一般的な動脈硬化(末梢動脈疾患)の治療の流れ
喫煙者は禁煙を、また糖尿病や高血圧、脂質異常症などの危険因子を有する方は、これらの是正を行います。間歇性跛行(休み休みでないと歩けない)だけの時には運動療法と薬物療法が基本的な治療となりますが、さらに症状が悪化した時には血管内カテーテル治療や外科的バイパス手術を行います。
当院の症例(ステント治療)
当院ではカテーテル治療として風船の付いた細い管(バルーンカテーテル)を血管の中に入れ、風船を膨らませることで血管を拡げたり、ステントと呼ばれる器具を血管の中に入れて、血管を内側から支えることで血管が狭くなるのを防ぎ、血液の流れを改善・維持させる治療を行っています。気になる症状のある方は、ぜひとも早めに受診し、検査を受けてください。