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診療部 ー 産科

24時間無痛分娩に対応

無痛分娩について

北⽶、他のヨーロッパの先進国と較べるとまだまだ普及はしていませんが、⽇本でも徐々に無痛分娩の割合は増えてきています。「無痛分娩」という⾔葉で⽇本では普及していますが、英語では「labor epidural analgesia」(分娩の時の硬膜外⿇酔)という⾔葉が使われています。
「無痛」というと、なにもわからないままに⾚ちゃんが生まれそうと考えがちですが、実際には陣痛時のお腹の張りや⾚ちゃんが⾻盤をおりてくる感覚はなるべく残すようにします。そうすることによっていきむことが可能となり、ご自分の⼒で出産することができます。

■ 当院では主に硬膜外麻酔を実施

最新設備を取り入れた、安心と安全の無痛分娩

一般的に無痛分娩には「硬膜外麻酔」と「静脈点滴やガスの麻酔」があり、当院では主に、硬膜外麻酔を行っております。硬膜外⿇酔を使⽤して分娩することは陣痛時の痛み緩和にも有⽤ですが、急に帝王切開になった時や、会陰の傷が⼤きいときの縫合、胎盤の⽤⼿剥離など分娩に伴う痛みすべてに対してかなり有⽤です。妊婦さんは分娩が近づくと前駆陣痛がはじまり夜中もなかなか眠ることができません。硬膜外⿇酔をすることにより⼀度、痛みから放たれ、休息をとることにより新たな気持ちでお産に取り組むことができるようになります。

24時間麻酔科医が対応

⽇本で徐々に広がりつつある無痛分娩ですが、北⽶と較べるとまだまだ制限の多い部分もあります。⿇酔科医不⾜のため計画分娩のみに対応している病院や、産科医が⿇酔担当を行ったりすることも多くあります。当院では2019 年10 ⽉より、24時間の⿇酔科医対応による無痛分娩を開始致しました。

⼤阪府下では、​​大阪大学附属病院、⼤阪⺟⼦医療センター、関西医科大学附属病院に継ぐ4番⽬の病院となりました。当院では、24時間麻酔科医が硬膜外麻酔を行いますので、自然陣痛発来で入院してから無痛分娩を行います。計画分娩の場合には子宮口の熟化・開大に時間を要し、分娩までに数日間かかる場合もあるため、患者様のご希望による計画分娩は行わず、医師が必要であると判断した場合にのみ行います。また⿇酔科医が⿇酔を担当することにより産科医だけでなく、⿇酔科医も全⾝状態を観察することができ、急変時の対応がより早いものとなります。

関連リンク 麻酔科

各専門医によるチーム医療

無痛分娩を成功させるコツは、⿇酔科医・産科医・⼩児科医・助産師の4つの分野の深いコミュニケーションにあるといわれています。当院は各診療科で⾮常にコミュニケーションが取りやすい環境があり、産科医・⼩児科医・助産師それぞれの担当医師が、無痛分娩に対する理解が深く、研修などに積極的に参加して知識を得ています。4つの分野が、それぞれの役割をしっかりと理解した上で、綿密な連携体制を取り、出産に臨んでいます。

また、院内では多岐にわたりシミュレーション教育も⾏っております。新⽣児を対象にしたNCPR、硬膜外⿇酔を併⽤したお産をしている妊婦さんの急変時シミュレーションJALAの安全講習会、妊婦の急変対応のJCIMELSのシミュレーションなどを⾏っています。これにより⼀層、助産師―産科医―⿇酔科医―新⽣児科医の連携が深まっています。

無痛分娩について

  1. 1無痛分娩をご希望される方に産婦人科医師よりご説明

    当院の無痛分娩は、硬膜外麻酔あるいは脊髄くも膜下麻酔をもちいた方法で実施しています。陣痛発来に合わせて麻酔科医が実施します。微弱陣痛等により分娩進行が見られない場合には、陣痛促進剤の使用や吸引分娩の実施が必要となる場合があります。
    ご希望による計画分娩は実施していません。
    無痛分娩をご希望の方は、担当産婦人科医師にご相談ください。

  2. 2無痛分娩教室

    『現在、オンライン視聴で行っています。受講方法は下記PDF(『無痛分娩教室』のオンライン視聴について)をご覧ください。』

    ■ 無痛分娩に関する書類

    下記より各種書類をダウンロードできます。

  3. 3無痛分娩外来
    ※病棟での緊急処置のため、
    外来予約時間からお待ちいただく場合がございます

    無痛分娩外来では、アレルギー、既往歴、前の分娩経過などを問診させていただいています。また、お背中を診させて頂きます。これは硬膜外カテーテルを挿⼊するときの背⾻と背⾻の空き具合などを⾒させて頂いています。

  4. 4分娩当日

    陣痛からの場合は、来院していただいて、採⾎をします。採⾎結果を確認したあとに硬膜外カテーテルを挿⼊して⿇酔を開始致します。
    破⽔からの場合もまずは採⾎をいたします。ケースバイケースですが、陣痛が始まれば⿇酔を開始致します。
    計画分娩の場合でも陣痛が始まってから⿇酔をはじめる場合もあります。また、頸管拡張をする時点でカテーテルだけを挿⼊する場合もあります。
    ⿇酔をはじめる時、カテーテルだけ挿⼊するか否かはその都度、助産師、産科医、⿇酔科医で相談しながら決定させていただきます。

無痛分娩費用について

外来受診料 5,000円
無痛分娩費用 硬膜外カテーテルを留置したら 初産婦:150,000円、経産婦:130,000円 費用は処置の開始時までは発生いたしません。分娩の直前まで無痛分娩をお受けいただくかお選びいただけます。

※いずれの場合も、通常の分娩費用が別途加算されます。

無痛分娩に関するご相談は下記にお電話ください

06-6471-9541

※お電話で「無痛分娩について」とお伝えください。

2023-2022年度 無痛分娩件数

2023年 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
無痛分娩件数
57件 94件 84件 84件 86件 83件 89件 96件 82件 78件 88件 81件
2022年 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
無痛分娩件数
68件 67件 53件 85件 59件 74件 53件 67件 73件 60件 63件 47件

■2023年度無痛分娩総数 1002件

■2022年度無痛分娩総数 769件

■2021年度無痛分娩総数 767件

医師・スタッフ紹介

麻酔科 部長 魚川 礼子

経歴 1998 年関⻄医科⼤学卒業神⼾⼤学⿇酔科⼊局。
兵庫県⽴こども病院、埼⽟医⼤総合医療センター産科⿇酔部⾨、神⼾⼤学⿇酔科、パルモア病院産科⿇酔科、⼤阪⼤学産科⿇酔を経て2019 年より現職。

みなさん、こんにちは。
きっとこのページにたどり着いた⽅は不安でいっぱいだと思います。「はじめてのお産、痛いっていうけれども⼤丈夫かしら︖」「前のお産がとても難産で⼤変だった。⾚ちゃんには会いたいけれどもまたあのお産を経験するのはつらい」などなどいろいろな不安でいっぱいのことだと思います。私たちは⿇酔をすることにより痛みを緩和しお産をサポートしていきたいと考えております。⿇酔分娩という選択枝も考えていただけると嬉しいです。新しいファミリーの誕⽣に少しでもお役にたてることを祈っています。

麻酔科 部長 角 千里

経歴 関西医科大学附属病院にて
産科麻酔に従事
2019年より千船病院に異動

産科⿇酔を担当しております⾓千⾥と申します。
24時間⿇酔科医が関わることで、安全で満⾜度の⾼い無痛分娩をうけていただけるようになりました。「無痛分娩にちょっと興味があるんだけど・・」「パートナーが無痛分娩をしたいって⾔っているけどなんだか⼼配で・・」という⽅、皆様まずは気軽な気持ちで無痛分娩教室におこしください。妊婦様・⼀緒に出産に挑まれるパートナーの⽅が、しっかりおちついてお産ができるように、私達も⽇々サポートしてまいります。

麻酔科のスタッフ紹介にリンク

無痛分娩に関するよくある質問

無痛分娩にするか迷っているのですが、
いつまでに決めたらいいですか?

妊娠中に無痛分娩教室と無痛分娩外来を受診していただいていれば、いつでも⼤丈夫です。出産前には今回のお産がどれぐらい痛いかなんて予測ができませんから、最初は⿇酔無しで挑戦してみて、途中で無痛分娩に変更することも可能です。

⾚ちゃんに与える影響は?

硬膜外⿇酔無痛分娩に使うお薬が⾚ちゃんに届く量はとてもわずかです。⾚ちゃんが眠ってしまったり・・というような悪い影響はありません。逆にお⺟さんが過剰なストレスから過換気になってしまうことを防いで、⾚ちゃんにしっかりと⾎液や酸素を送ってあげられることが期待されます。また、投与するお薬の量が少ないため、分娩直後に授乳をしてもらっても全く問題ありません。

無痛分娩にしたら全然痛みがないのですか?

痛みの感じ⽅は、ひとりひとりでかなり違います。また同じ⼈でも、その時の体調や精神状態にも⼤きく左右されます。ですから⿇酔中には痛みの強さを0〜10の数値で表現していただいたり、⿇酔で感覚が鈍くなっている範囲を触って確かめたりしながら、⿇酔の量を調節していきます。これは、⿇酔が効きすぎてしまうとお腹に全然⼒が⼊らなくていいきめなくなってしまったり、おかあさんの⾎圧が下がってしまうことで、胎盤への⾎流量が減って⾚ちゃんががしんどくなってしまうことがあるので、それを避けるためです。
ですから痛みを全くゼロにすることを⽬指すのではなく、“お腹が張ったときにはちょっと痛いけど、張るのはしっかりわかるし⾜にもお腹にもしっかり⼒が⼊る”状態、を⽬標にお薬の量を調節していきます。

⿇酔が途中で切れたりしませんか?

当院では、硬膜外⿇酔を中⼼にした鎮痛⽅法を⾏っています。硬膜外⿇酔は、背⾻の奥にある硬膜外腔という場所に細くて柔らかいカテーテルを⼊れて、カテーテルからお薬を⼊れて痛み取る⽅法です。そのため、鎮痛薬は途中で何度でも追加することができます。
ただ、分娩中にカテーテルが抜けてきてしまったりした時には、⿇酔のお薬が⽪下組織の中に漏れてしまって効き⽬がなくなることがあります。そんな場合にはもう⼀度新しいカテーテルを⼊れ直します。

分娩中の過ごし⽅は?

【お⾷事・飲み物に関して】

⿇酔を始めてからは、基本的にお⾷事はとれませんが、⽔分(お茶・スポーツドリンク・果⾁⼊りでないジュース・ブラックコーヒー(⽜乳⼊りは×)・コーラなど)、溶けやすい形状のアイスキャンディー(脂肪分がはいっていないもの)、飴・ガムなどは好きにとっていただけます。

【どれくらい動けるの?】

⿇酔開始後は、少し⾜に⼒が⼊りにくい感じになることがあるので、⽴ち歩くところんでしまう危険があります。このため基本的にはベッドの上で、⾃由に過ごしていただきます。また⿇酔中は下半⾝の感覚が鈍くなっているので、床ずれ防⽌の為、定期的に体の向きを変えてください。トイレは導尿と⾔って細いカテーテルの管を⼊れたり、スタッフ付き添いの上で歩いていっていただいたりします。導尿の際にも、⿇酔が効いておりますので痛くありません。

【機器の装着をお願いします】

胎児⼼拍陣痛モニター・⼼電図・⾎圧計・サチュレーションモニター(体の中の酸素の量を測る機械)を、⿇酔開始後から⾚ちゃんが⽣まれるまでつけていただきます。⾎圧は、⿇酔開始直後は何度も、その後は15分に1回測定いたします。

費⽤はどれくらいかかりますか?

⿇酔はいつまで続けますか?

硬膜外⿇酔のカテーテルは、多くの場合お産の後の会陰切開の傷の縫合など、痛みを感じる処置が終わった後に抜いてしまいます(このカテーテルを抜く操作は痛くありません)。これはできるだけはやく⾃由に動いていただくためです。その後の⼦宮収縮の痛みに対しては、飲み薬や座薬などで対処できますので、ご安⼼ください。ただし、胎盤遺残がうたがわれるなど、⼦宮内の処置が必要になる可能性がある等の場合には、⼀晩ほどカテーテルを残しておくこともあります。