女性放射線技師☆座談会「これが私の生きる道」
強力な磁場を発生させるMRI検査やレントゲン、CT、マンモグラフィなどの放射線を使用した検査や治療を行う放射線技師。千船病院には23名の放射線技師が在籍しており、うち9名が女性。乳がん検診はやはり女性技師が望ましいということ、そして宗教的な理由で異性に肌を見せられないという外国籍の女性が地域に増えていることで、乳がん検査以外の検査でも女性技師が求められる傾向があります。今回は、そんな女性放射線技師3名に集まってもらいました。
―千船病院は女性の放射線技師が多い方だと聞きました。
三島 私が千船病院に入職した約20年前は、女性技師は私だけ。その後に尾崎さんが入ってきてくれたときは救世主!って思いました。それまでは(女性の乳房の疾患を診療の対象とする)「乳腺外来」の日は、絶対に休めないというプレッシャーがありましたから。
尾崎 現在は育休中の女性技師もいますが、問題なく業務がまわるほどの人数です。ここ10年程で女性技師は誰も辞めていないんですよ。
―千船病院は乳がんの早期発見に力を入れているのですね。
三島 はい。通常の検診でのマンモグラフィはもちろんのこと、多くの断面画像が撮影でき乳がんの発見率が高いといわれている「3Dマンモグラフィ」も取り扱っています。またもうすぐ、「無痛MRI乳がん検診(注①)」もスタートする予定です。
尾崎 乳房を板で圧迫し薄く伸ばした状態で撮影するマンモグラフィの検査時の痛みに抵抗がある方や、体を他人に見られたくないという方にとって、痛みを伴わず、専用の着衣で検査を行える「無痛MRI乳がん検診」は、新しい乳がん検診の選択肢になり得ると思います。
―放射線技師として働く上で大変なことや、やりがいは何ですか。
尾崎 乳がん検診で所見が認められる画像が出たときに、すぐに外来受診をすすめ、結果としてがん治療の初動を後押しできたときには、本当によかったと思いました。
三島 マンモグラフィに限らず、検査での病気の見落としによって助からなかった患者さんの事例もニュースなどで耳にします。発見が難しい病変を見つけられたときはやりがいを感じます。
吉岡 救急では負傷していたり意識がない状態で運ばれてくることもあるので、自力で動けない患者さんの対応は大変ですね。
苦労して対応した患者さんが後日外来で来院して「あのときはありがとう」と声をかけてくださるとうれしくなります。
―仕事をする上で工夫していること、心がけていることはありますか。
吉岡 マンモグラフィでは、事前に「できるだけ乳房を薄くした方が正しく撮影や診断ができるから、頑張ってください」と痛みに耐える意義を伝えておきます。その方が患者さんも納得して協力してくださるからです。
尾崎 力を抜くと痛みがマシに感じますよ、と自分が検査を受けた経験も踏まえて声がけしたりもしますね。
吉岡 自分の経験は大切ですよね。他の検査でも、新人のとき、私が行った患者さんへの姿勢の指示を先輩が見て「自分でその体勢できる?しんどいで」と言われて、再現してみたら本当にキツかったことがありました。それからは自分でも試しながら、患者さんにとって楽で、かつ的確な撮影ができる姿勢を考えるようにしています。
三島 お子さんの撮影では、ぬいぐるみを渡して「ぎゅって抱っこして、動かんといてな」という風に具体的な声がけをするようにしています。すると、お子さんも頑張ってくれるんです。
―今後の目標を教えてください。
三島 女性技師の中でキャリアが一番長いので「三島さんに聞けばなんでもわかる」と頼られる存在になれるよう勉強し続けていきたいと思います。
尾崎 いずれ出産して母親になったとしても現役でバリバリ働き続けたいですね。3人のお子さんを産み育てながら活躍している三島さんというロールモデルがいるので心強いです!
吉岡 3年に1度認定が行われる「マンモグラフィ施設・画像評価(注②)」でA評価をとれるよう、日々仲間と切磋琢磨しながら撮影の技術を磨いていきたいと思います!
①無痛MRI 乳がん検診
MRI(磁気共鳴画像)を用いるため乳房を圧迫せずに乳がんを検出する新しい検査法。
DWIBS 法という技術を利用し、造影剤も使用せずに無痛で行える(現在は自費診療扱い)。
②マンモグラフィ施設・画像評価
NPO 法人日本乳がん検診精度管理中央機構がマンモグラフィの撮影技術、被曝線量管理、装置の品質管理が適正な状態かを審査し、質が高いと評価した施設に認定を与えるもの。千船病院はA ~ D 評価のうち現在はB 評価認定。