総合内科の対象患者は、複数の基礎疾患を有するADLの低下した高齢者が多く、疾患では、誤嚥性肺炎や細菌性肺炎などの呼吸器疾患や、尿路感染症、膿皮症が多くなります。

減量手術の術前評価として睡眠時無呼吸症候群の評価治療介入が行われている方が多く、年々対象患者が増加しています。
また、減量手術後のCPAP治療中止評価も積極的に行い、CPAP治療中止が可能な患者も増えています。

消化器内科の診療では緊急処置を要する消化器救急に力を入れているため、診療疾患の中では胆道疾患が占める割合が最も多く、胆管結石や胆膵悪性腫瘍による急性胆管炎に対して、内視鏡的結石除去や内視鏡的胆道ドレナージ術を行っています。次に多いのはイレウスであり、当科でイレウス管留置による減圧を行い、絞扼性イレウスについては早期に診断し外科に紹介しています。また早期消化管悪性腫瘍や、一括切除が困難な大腸腫瘍や十二指腸腫瘍に対する内視鏡処置症例は飛躍的に増加しています。また出血性胃・十二指腸潰瘍や虚血性腸炎や結腸憩室出血などの消化管出血症例に対する救急対応も行っています。

千船病院循環器内科では、心不全、虚血性心疾患、心筋症、心臓弁膜症、不整脈疾患、末梢動脈疾患、静脈血栓塞栓症、高血圧症（周産期血圧管理や二次性高血圧を含む）、脂質異常症など幅広く循環器疾患全般について診療を行っています。
現在、日本では超高齢化社会を迎え高齢者の心不全患者さまが増加しております。当院では心不全で入院された患者さまに対しては多職種連携によるチーム医療を行っており、また心不全地域連携パスを用いて地域の医療介護施設と連携し、心不全患者さまの治療やケアに取り組んでおります。さらに心筋梗塞や狭心症、末梢動脈疾患、心不全の患者さまを対象として、入院中および外来通院での心臓リハビリテーションを行い、患者さまの予後や生活の質（QOL）改善に努めております。

当院は地域医療を支える小児科として、救急対応に力を入れています。そのため、乳幼児の急な呼吸苦を生じる急性細気管支炎や肺炎などの下気道感染症や熱性けいれんなどの救急疾患の頻度が高い傾向があります。また、気管支喘息発作も重症例では入院管理を要します。乳幼児では、感染症や喘息発作で呼吸苦が強くなりやすいため、入院が必要になる頻度も高くなっています。

当院の減量関連手術は全国1位（2024年）の症例数を施行しております。手術だけではなく多職種との連携によるきめ細やかなケアが当院の特色であり、多くの患者様にお越し頂いている理由かと思います。 また減量手術のみならず他の疾患でもチーム医療を活かしたケアで早期退院を目指しており、各疾患全国平均よりも短い在院日数で治療が可能となっています。

整形外科は骨、関節、靭帯、筋肉、神経のケガや病気に対する治療を行います。急性期病院としての救急搬送患者および周囲の医療機関からのご紹介による患者の対応と、関節センターを主体とした関節疾患患者の入院が多くを占めています。
1位の「股関節・大腿骨近位の骨折」の転院率（当科での治療後に入院リハビリを継続するために他の病院へ転院すること）は63.47％でした。高齢者の大腿骨近位部骨折、いわゆる「足の付け根の骨折」が最も多く、急なケガによる身体を含めた環境の変化によって数ヶ月の入院リハビリを必要とします。そのため、2～4週の急性期の後は回復期リハビリのため亜急性期もしくは回復期リハビリ病棟を有した病院への転院が必要となります。
3位の「前腕の骨折」は高齢者の転倒受傷の増加も原因のひとつと考えられます。
一方、2位の「膝関節症」の転院は0％でした。当科では人工関節手術に注力しています。日々の術後リハビリの充実化を図り、通常の人工関節手術では最短で術後約2週間で退院帰宅が可能です。人工関節手術を受けられた方全員がリハビリ継続のための転院・入院を必要とせず自宅へ退院されました。退院後の継続リハビリを通院で行っています。

当科での入院件数で最も多いのは「脳梗塞」です。発症4.5時間以内であればt-PAという血栓溶解剤を、発症24時間以内であれば血栓回収術というカテーテル治療を検討します。当科では一次脳卒中センターとして、24時間体制で脳卒中の受け入れ・治療を行っています。　
次に多いのは「頭部外傷」です。これには、急性硬膜下血腫や急性硬膜外血腫などの緊急手術を要するものから、外傷性くも膜下出血や軽症の脳挫傷など、止血剤や血圧管理などの内科的治療で経過観察するものがあります。当科では、小児から高齢者まで幅広く、頭部外傷を積極的に受け入れています。

婦人科領域では子宮並びに卵巣手術に際し、可能な限り開腹創を残さない腹腔鏡手術を行っている。なかでもロボット支援手術（ダヴィンチ）の件数は、全国7位であった。また、産科領域ではMFICUを中心に積極的に近医からの母体搬送を受け入れ、早産、切迫早産症例に対応している。

白内障手術は、日帰り、1泊2日、２泊３日のいずれかの入院で行っている。また、神戸大学附属病院より網膜・硝子体および緑内障の専門医による診療、手術等を施行している。さらに、小児眼科の症例にも対応して、診察を行っている。また成人の斜視の手術も行っている。

睡眠時無呼吸は一晩病院の個室に入院していただき、終夜睡眠ポリグラフィー検査を行います。基本的に午後4時に入院、翌朝は午前9時頃の退院予定となっております。顔面神経麻痺・突発性難聴の入院加療は、重症の方や糖尿病の既往がある方が対象となります。入院期間は1週間程度ですが、重症の糖尿病の既往があり血糖値コントロールが不良である場合は入院期間が延長する可能性があります。

西淀川区において泌尿器科疾患の検査診断から手術治療や化学療法までおこなうことができる唯一の病院であるため、時間内はもとより時間外においても緊急症例に対応する体制を整えている。そのため近隣地域からも手術治療を目的とした診察依頼は多く、それに伴う尿路閉塞性の有熱性尿路感染症に対する処置も入院外来ともに適宜対応している。また泌尿器科が対応しうる腎尿路生殖器の腫瘍に対する診療も充実しており、各根治的手術治療も安全に実施している。前立腺がん疑いに対する組織検査や膀胱癌に対する経尿道的手術が多く行われており、在院日数の短縮がはかられている。

腎炎、ネフローゼ症候群、慢性腎臓病、電解質異常など、様々な腎疾患に対応しています。

糖尿病内分泌内科では糖尿病教育入院の他に肥満教育入院が多くあります。肥満症に対しての教育入院が多いのは当院の特徴であり、外科療法も含めた総合的な加療を行っております。また糖尿病や肥満を合併した患者さまの肺炎や尿路感染症などについても入院加療を行っております。

当院は地域周産期母子医療センターのため、低出生体重児の分娩を多く経験しています。また、近隣の産婦人科の閉院や分娩休止に伴い、分娩の依頼が増加しているため、生後早期に対応を要する正期産児の入院数も増加しています。

消化器内科で施行している手術では、胆道疾患に対する内視鏡処置が最も多く、胆道結石や胆道悪性腫瘍に対する内視鏡的胆道ドレナージ術や、総胆管結石性胆管炎に対する内視鏡的十二指腸乳頭切開術・内視鏡的胆管結石除去術を行っています。早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術（ESD）や、2cm以上の大腸腫瘍に対する粘膜剥離術も行っています。内視鏡的結腸ポリープ切除については、90％以上の症例は外来にて切除を行っていますが、前処置が出来ない高齢者の方や遠方の方については入院での切除を行っています。

千船病院循環器内科では虚血性心疾患に対する冠動脈インターベンション（PCI）、末梢動脈疾患に対する血管内治療（EVT）、徐脈性不整脈に対するペースメーカー植え込み術、静脈血栓塞栓症に対する下大静脈フィルター留置などを行っています。いずれもクリニカルパスを用いて標準的かつ安全な医療が行えるように心がけ、できるだけ短期間の入院となるように配慮しています。特に急性心筋梗塞や不安定狭心症といった命に係わる重大な疾患に対しては24時間対応しています。

急性胆のう炎の早期手術を積極的に行っており、緊急手術の胆のう摘出術が増えております。 またロボット支援下での直腸癌手術に加えて結腸癌、胃癌でもロボット支援下での手術を行っており、結腸癌手術症例も増加しております。

骨折患者に対する手術と変形性関節症などの関節疾患に対する人工関節手術が上位を占めています。人工関節手術を含めたほぼすべての手術は、昨年の年間件数を維持しています。当院ではより治療にご満足頂けることを目指し、「ナビゲーションシステム」というコンピューターを用いたより小さなキズの手術や、術後の鎮痛方法の改善、術後患者会の活動などを行っております。また高齢者の大腿骨近位部骨折は、術前の待機日数が短くなるほど術後の合併症が少なくなるとされており、ガイドライン上では受傷後48時間以内での手術を行うことが推奨されています。当院では可能な限り早期の手術を行い、平均の術前日数は1.5日です。さらにリハビリの内容を拡充し、術後の入院日数は平均約16日を維持しています。約半数がリハビリ病院へ転院され、残りの半数はご自宅や元にいらっしゃった施設などへ戻られています。

当科での手術件数で最も多いのは、「慢性硬膜下血腫に対する穿頭術」です。この疾患は、軽微な頭部外傷の1〜数ヶ月後に、頭痛・歩行障害・認知症などで発症します。この手術は局所麻酔で施行可能で、多くの症状は術後早期に改善します。術後に再発した場合には、カテーテル治療（中硬膜動脈塞栓術）を追加することもあります。
次に多いのは「脳血管内手術」です。これは脳動脈瘤に対するカテーテル治療（コイル塞栓術）です。入り口が広く比較的大きな脳動脈瘤では、従来のコイル塞栓術では動脈瘤内のコイルが母血管にはみ出ることがあります。血管にあらかじめステントを設置しておき、コイルを動脈瘤内に安定して留置することで塞栓します。より大型の動脈瘤に対しては、網目の非常に細かい筒状のステント（フローダイバーターといいます）を、母血管に留置することで、動脈瘤内の血栓化（血液が固まること）を促し、動脈瘤の破裂を防ぐ新しいタイプの治療法も行っています。

大阪府下取り扱い分娩数１位の症例数（約2500件）を背景に、予定並びに緊急合わせて約700件の帝王切開を行っている。また、婦人科領域では大阪府下2位にあたる腹腔鏡下手術件数をはじめ、年間約900件の婦人科良性悪性疾患に対する手術を行っている。

白内障手術は、日帰り、1泊2日、２泊３日のいずれかの入院で行っている。また、神戸大学附属病院より網膜・硝子体および緑内障の専門医による診療、手術等を施行している。さらに、小児眼科の症例にも対応して、診察を行っている。また成人の斜視の手術も行っている。

口蓋扁桃摘出術はクリニカルパス（入院から退院までの期間で、検査、治療、看護ケア、食事、リハビリなどを時系列でまとめた計画表）に沿って入院加療を行っていきますので、ほぼ全例7泊8日の入院となっています。扁桃、アデノイド慢性疾患は主に慢性扁桃炎や睡眠時無呼吸症候群に対しての口蓋扁桃摘出術、アデノイド切除術を行っています。慢性副鼻腔炎の手術加療は内視鏡下に鼻内副鼻腔手術を行っております。ナビゲーションシステムを使用し、より安全に丁寧に行うよう常に心掛けて手術加療を行わせて頂いております。入院期間は7泊8日となります。

西淀川区内外および近隣地域からの尿路結石治療の依頼が多く、時間外深夜の症例にも救急対応可能の体制をとっているため、治療効果の高いレーザーを用いた経尿道的尿路結石除去や日帰り治療が可能である体外衝撃波結石破砕術が多い。
また尿路閉塞性尿路感染症を主とした尿路ドレナージが必要となる患者も多く尿管ステント留置術も適宜行なっている。
腎泌尿器系悪性腫瘍の治療、腎癌・尿路上皮癌（腎盂・尿管・膀胱）・前立腺癌の根治手術治療も対応しているため、経尿道的腫瘍切除や腹腔鏡手術およびロボット支援腹腔鏡手術もおこなっている。

当院は地域周産期母子医療センターのため、低出生体重児や母体緊急疾患のための緊急帝王切開の対応を行っていることから、小児科医師の立会いをする事例を多く経験しております。そのため、新生児仮死の蘇生を要する頻度も高くなっています。